ONE TEAM PROJECT

02 野村 萬斎 × 清水 希容

特別対談 KATA for TOKYO 2020

萬斎さんも感嘆、迫力の空手“形”演

“型”を極めるため、日々精進を続けている野村萬斎さんと、東京2020大会新競技となった空手の“形”アスリート清水希容選手との対談が、萬斎さんの稽古場“野村よいや舞台”で行われました。対談冒頭、ご挨拶がわりに萬斎さんの前で清水選手がさっそく演武を披露。「チャタンヤラ・クーサンクー!」、自身が属する“糸東(しとう)流”のなかでも、いちばん難易度が高いと言われる、その“形”の名前を大声で宣言し、独特の“構え”のもと、演武に入る清水選手。ビシッビシッと空気を切り裂くように繰り出される技の数々と、その一連の流れのカッコ良さと美しさに、感嘆する萬斎さん。「今日、はじめて間近で空手の演武を拝見しましたけど、その気合いとキレとスピード感は、本当に素晴らしいですね。人間として何か尊いものを見たような気がしました」。清水選手いわく、突きや蹴りといった技の連なりからなる空手の“形”は数百個ほどあり、その中から大会によって大体50個ほど選出。それを実際に選手が演武するのだとか。ひとつの“形”は約3分。今回は、その短縮バージョンを特別に披露してくれました。

演武を披露する清水選手と見つめる萬斎さん, 稽古場看板, 舞台

清水選手が語る、競技空手の世界

「空手は何年やってらっしゃるの?」。清水選手の緊張をほぐすように優しく語りかける萬斎さん。
「今年で14年になります」。清水選手が、空手競技について説明します。「空手競技は“形”と“組手”の2つの種目がありまして、“組手”というのは実際に対人で戦いながらポイントで勝敗を決める競技なのですが、私がやっている“形”の場合は、もともと決まった空手の“形”を演武させていただいて、その評価を審判員が行う競技になります」。

立って話をする二人

狂言の“型”と、空手の“形”

その後対談は、空手の“形”と狂言の“型”をめぐる話題へと進展します。「演武の前は、どれぐらいの時間、準備をするの?」、「狂言の場合は、歳を取れば取るほど経験値が増して所作に深みが出ると言われていますが、空手の場合はどうなんですか?」、「演武の最中は、身体のどこに意識を集中させているの?」など、興味津々の萬斎さんが、清水選手に次々と質問を浴びせます。一方、清水選手は、この機会に是非聞いてみたいと、狂言における重心の置き方や呼吸法について萬斎さんに尋ねます。そのひとつひとつに対して、丁寧に答える萬斎さん。いわゆる芸事と競技という違いを超えて、「自分ひとりの力だけではなく、会場にいる人を巻き込むことが大事だというのは、共通しているのではないでしょうか。ガチガチの緊張感だけを押し出すのではなく、まわりをリラックスさせた上で、自分のいい緊張感を出す。きっと、それがいちばんいいんでしょうね」とアドバイスの言葉が送られました。

形を決める清水選手, 扇を広げる萬斎さん

歴史と伝統を踏まえて、自らを表現する

「狂言も空手も、歴史の中で洗練されて今のかたちになった“カタ”というものに、敢えて自分を入れてみることによって、自分を伸ばすことができる。そこが、ものすごく重要なところだと思うんですよね」という萬斎さんの言葉が、とりわけ印象に残った今回の対談。その最後を「We are ONE TEAM!」の掛け声で締めてくれたお二人は、東京2020にかける思いを、それぞれ次のように語ってくれました。「オリンピックまで残り3年間ということで、金メダルを獲るという目標はもちろんなんですけど、それ以上にいい演武、たくさんの人たちの心に残るような演武ができるように、一日一日の積み重ねを大事にしながら、頑張っていきたいと思っています」(清水選手)。「僕は実際のオリンピック競技には出られませんが、ひとりの文化人、芸術家として、この機会に日本という国のアイデンティティを世界に向けて発信していきたいと思っています」(野村萬斎)。

笑顔で会話する二人

MAKING MOVIE

野村 萬斎[のむら まんさい]
狂言師
1966年4月5日 東京都出身。
祖父・故六世野村万蔵及び父・野村万作に師事。
重要無形文化財総合指定者。3歳で初舞台。東京芸術大学音楽学部卒業。
「狂言ござる乃座」主宰。
国内外で多数の狂言・能公演に参加、普及に貢献する一方、現代劇や映画・テレビドラマの主演、舞台『敦-山月記・名人伝-』『国盗人』など古典の技法を駆使した作品の演出、NHK『にほんごであそぼ』に出演するなど幅広く活躍。
各分野で非凡さを発揮し、狂言の認知度向上に大きく貢献。現代に生きる狂言師として、あらゆる活動を通し狂言の在り方を問うている。
94年に文化庁芸術家在外研修制度により渡英。
芸術祭新人賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞等、受賞多数。12年には芸術祭優秀賞受賞。
2002年より世田谷パブリックシアター芸術監督。
東京2020組織委員会 文化・教育委員会委員。
清水 希容[しみず きよう]
空手選手
1993年12月7日 大阪府大阪市出身。
【主な戦績】
・2017年 ワールドゲームズ (個人・形 女子) 優勝
・2016年 世界選手権(個人・形 女子) 優勝
・2013〜16年 全日本選手権4連覇(2013女子形史上最年少優勝=20歳)
兄の影響を受け、住之江小3年から空手を始める。
世界選手権は2014年、2016年連覇。2016年は団体も優勝。
2014年仁川アジア大会で金メダル。
全日本選手権は2013年から4連覇。家族は両親と兄。
類い稀なる精神性の高さで、2013年から国内外全ての試合で無敗を誇る。
「形で多くの人の心を震わせたい」と演武する形は、一瞬にしてその空間を華やかに染め上げる力がある。
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東京2020 参画プログラムとは

2016年10月より、全国各地で様々な東京2020関連イベントが開催されています。 これは、東京2020大会の 大会ビジョンのもと、スポーツだけでなく、文化芸術や地域での世代を越えた活動、被災地への支援など、 参加者自らが体験・行動し、未来につなぐプログラムです。
あなたの街や地域で開催されるこれらのイベントに参加して、 あなたもいち早く東京2020大会を盛り上げていきませんか?

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