ONE TEAM PROJECT

05 野老 朝雄 × 松井 冬子

特別対談 “CONNECT”
東京2020エンブレムが繋ぐ、
伝統と革新

東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレム制作者・野老 朝雄(ところ あさお)さんと、独自の画風で新しい世界を切り拓いている日本画家・松井 冬子(まつい ふゆこ)さんの対談は、松井さんの作品「生々流転(しょうじょうるてん)」の前でスタートしました。

襖絵の前に立つ二人

瑠璃色でつながる

「生々流転」は、絹に描かれた襖絵の大作で最終的には48枚の作品になる予定です。3年がかりで、きめ細かく丹念な作業を積み重ねてきたことを松井さんが説明する中、静かに絵を見回している野老さんの目が、襖絵の一部に描かれた蝶の群れに止まります。

襖絵に描かれた蝶の群れ

墨一色で描かれている絵の中で、ここだけ瑠璃色が使われています。野老さん制作のオリンピック・パラリンピックのエンブレムの藍色につながる瑠璃の色です。

次の間に移ると、松井さんの絵はダイナミックに変貌します。山の頂に老松、山々に囲まれたこの場所の片隅に、やはり一カ所だけ青が使われていました。一見では見過ごしてしまいそうな深い青は、自ら岩絵具を焼いて出した色だそうです。

襖絵を見つめる野老さんと松井さん

作品を通じて出会っていた
二人のアーティスト

2部屋の襖絵を見た後で、松井さんはこんなことを野老さんに告白します。

「実はエンブレムの審査員だったんですけど、
初めて候補作を見たとき、この人はオカシイぞ!ひとつ一つのピースに対する集中が相当深い。何だかわからないけど、なんと凄いものが出てきたのかと感激、感動しました」
対する野老さんは感極まったのか、なかなか言葉が出てきません。

 

ここで対談する前に、すでに二人のアーティストはつながっていたのです。コネクトする二人の話は尽きることがありませんが、次の対談会場、野老さんの作品を展示しているギャラリーに移動します。

 

東京2020オリンピック・パラリンピックのエンブレムは、どのようにしてつくり出されたのか、その成り立ちを野老さんに語っていただくことから対談の第2部が始まりました。

エンブレムを持つ二人

エンブレムから生まれ、
次々につながっていく作品群

対談第2部の舞台となったギャラリーには、藍、瑠璃、群青といった、微妙にニュアンスが違う日本の伝統的な青を使った、焼き物や布、オブジェなど、野老さんがコラボする全国のアーティストたちの作品が飾られています。

その中には野老さんが手がけたオリンピック・パラリンピックのエンブレムから派生した様々な作品があります。

「エンブレムという一つの作品が、多くのアーティストを触発して、新たな才能を引き出し、日本の伝統的なものと結びついて展開していくことができたら素晴らしい。2020年以降に、高速道路などではない、私たちの新しい知的制作物をいかに長く残すことができるかと考えると、身の引き締まる思いがする」と野老さんは語ります。

“完全手作業”でつくられたエンブレム
あえて制約の中で、手技を積み重ねる意味

一見幾何学的で数学的計算だけでできたような野老さんのエンブレムが、実は“完全手作業”でつくり上げられたことを明かすと、やはり!といった表情で「最初から手作業でやった仕事だとわかりました」と松井さん。
第1部で明かしたように、エンブレムの審査員として最初に野老さんの候補作を見たときの松井さんの直感は大当たりだったのです。

制約があるからこそ、その中で努力し鍛錬し、困難を乗り越え、ある極みに達した者たちだけがわかり合える世界がある、そう松井さんは言います。「今、この瞬間にも、世界中のアスリートたちがコツコツと鍛錬を積み重ねていることを想うとワクワクします」

オリンピック・パラリンピックは、アスリートやスポーツファンだけのものではなく、文化・芸術、あらゆるものの限界を突破し、新しいものを創り出そうとする人たち全員のもの。
そういう意味で私たちはONE TEAM!そうお二人は感じているようでした。

野老さんのギャラリー

WE ARE ONE TEAM! 
100年後、200年後を見据えて

実は、このページ上部のONE TEAM PROJECTの題字も野老さんの手によるもの。そしてこのたび新たに出来上がったのが、ONE TEAM PROJECTのロゴマークです。やはりブルー一色でシンプルなデザイン、「内に向かう力が外に向かう、外に向かう力が内にも向かっている」ところを表現したものです。

ONE TEAM PROJECT ロゴマーク
 

東京2020大会以降に、どんなものを残していけるか、100年後、200年後を見据えて、内に外に、力を結集していきたいという思いを込めて、揃って色紙を書かれたお二人。これからの野老さんと松井さんのお仕事に期待したいと思います。

色紙を持つ二人
野老 朝雄[ところ あさお]
アーティスト

1969年5月7日 東京都出身。
建築を学び、江頭慎に師事。2001年9月11日より独学にて紋様の制作を始める。
「繋げる事」をテーマに美術、建築、デザインの境界領域で活動を続ける。部分(ピース)を組み立てること(ピーシング)で生成される繋がる図を目指す。単純な原理に基づき、定規やコンパスで描画可能な紋と紋様の制作をはじめ、同様の原理を応用した立体物の設計/制作も行なっている。

1969 東京生まれ.
1992 東京造形大学卒業.
1992-93 Architectural Association School of Architecture 在籍.
1993-98 江頭慎の制作助手、ワークショップアシスタント
2010-12 東京造形大学非常勤教員
2010- 桑沢デザイン研究所非常勤教員
2003-2016 武蔵野美術大学非常勤講師(ファッション領域担当)
2016- 東京大学工学部建築学科 非常勤講師

松井 冬子[まつい ふゆこ]
日本画家 現代美術家

1974年1月20日 静岡県 森町出身。

2002年に東京芸術大学美術学部日本画専攻卒業。
2007年、東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻日本画研究領域修了。
博士論文「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」を
東京芸術大学へ提出し博士(美術)の学位を取得。
女性、雌に焦点を当て、幽霊画、九相図、内臓、脳、筋肉、人体、動物を
題材に扱った作品を発表している。絹本に岩絵具を用いて描く。

主な個展 
「松井冬子展」平野美術館(静岡)2008
「松井冬子展 世界中の子と友達になれる」横浜美術館 (神奈川)2011
「生々流転展」新宿瑠璃光院 白蓮華堂(東京) 2018
主なグループ展
「MOTアニュアル」東京都現代美術館(東京)2006
「医学と芸術展」森美術館(東京)2009
「Phantoms of Asia 展」Asian Art Museum(USA)2012
「Japan: The Culture of Nature 展」 Nordiska Akvarellmuseet (SWEDEN)2017
主な受賞
佐藤美術館奨学生優秀賞(2006年)
Vogue Nippon 2006 Women of the Year(2006年)
The Best Debutant of The Year アート部門(2006年)
東京藝術大学 野村賞(2006年)
平成20年度静岡県文化奨励賞(2008年)
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2016年10月より、全国各地で様々な東京2020関連イベントが開催されています。 これは、東京2020大会の 大会ビジョンのもと、スポーツだけでなく、文化芸術や地域での世代を越えた活動、被災地への支援など、 参加者自らが体験・行動し、未来につなぐプログラムです。
あなたの街や地域で開催されるこれらのイベントに参加して、 あなたもいち早く東京2020大会を盛り上げていきませんか?

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