ONE TEAM PROJECT

ONE TEAM PROJECT×SPIRIT TALK コラボ

10 野老朝雄 × 廣村正彰 × 尾花大輔

ONE TEAM PROJECT × SPIRIT TALK コラボ企画
東京2020は、デザインに何ができるか

「SPIRIT TALK」は、東京2020大会を支える人たちが、ともに東京2020を考えるためのプロジェクト。
今回、このプロジェクトと「ONE TEAM PROJECT」のコラボレーション企画として、トークイベントを実施しました。

「オリンピック・パラリンピックとデザイン」をテーマに、大会エンブレムを担当した美術家の野老朝雄さん、スポーツピクトグラムを担当したグラフィックデザイナーの廣村正彰さん、聖火ユニフォームを担当したファッションデザイナーの尾花大輔さんの3名を招き、それぞれのデザインワークに対する思いを語っていただきました。

“個”と群”を繋ぐ“律”(ルール)があるからこそ美しさが生まれる

TOKYO2020

セッション前半では、ゲストの3名それぞれが、自身のデザインワークを解説。

「次の世代に何をやったかを残すこと」

最初にプレゼンテーションを行った野老さんは、今大会のデザインプロジェクトの意義について今の若い人たちに、東京2020のプロジェクトに対して期待感を持ってほしいと話します。

特にデザインや建築、土木を含めた領域に関しては、1964年の東京オリンピックで、先人たちが新たな時代を切り拓きましたが、今大会のデザインも未来につながるものにしていきたい。スポーツが面白く、感動できるのはルールがあるからこそ、それはデザインも同様だと野老さんは強調します。

エンブレムについて説明する野老朝雄さん

野老朝雄さんが今大会のエンブレムを制作するにあたっては、“ルール”をポジティブにとらえ、“律”という概念を念頭に置いてデザインしたとのこと。

「エンブレムは、3種類の小さな四角形が規則的に並ぶ紋様でできていますが、“個”である3つの四角形、そしてその集合体である“群”が、美しい市松紋として成り立っているのは、“律”=ルールがあるからこそ」と語ります。

また、幾何学的な紋様で構成されているこのデザインは、数学者たちの恰好の研究対象になっていて、数多くの論文が発表されていることにも言及。
このように、デザインと数学を繋ぐことは、これまでのエンブレムには無かった初めての現象であり、そこにレガシーとしての新しい価値があるのでは、と語られました。

1964年 東京オリンピックへの尊敬の念を抱いて制作した50種のピクトグラム

廣村正彰さんが制作したスポーツピクトグラム

スポーツピクトグラムを担当したグラフィックデザイナーの廣村正彰さんは、スポーツピクトグラムのデザインにあたって心掛けたことを次のように説明します。

「1964年の東京オリンピックが最初にスポーツピクトグラムを公式に出したのですが、それから50何年経って、我々はもう一度東京オリンピックをリスペクトした作品を作りたいということで、今回の提案をさせていただきました」

今大会のピクトグラムは、胴体が白く抜かれていることが特徴だと語る廣村さん。
これは「胴体を白く抜くことによって、人が動く姿、アスリートが一番かっこいい姿が表現される」と考えた結果なのです。

スポーツピクトグラムについて説明する廣村正彰さん

全部で33競技50種類あるピクトグラムの中には、競技者の全身を象ったものもあれば、上半身だけのものや馬や船に乗っているものがありますが、それぞれ検証と議論を重ね、工夫をすることで、ベストな形を見出したとのこと。
例えば、馬術のピクトグラムは人と馬の大きさに差があるため、馬の胴を半分カットすることでバランスを取っているのです。

制作で大変だったことについて聞かれると廣村さんは

「オリンピック(用のピクトグラム)を作れば、パラリンピックは簡単だろうなとおもっていたんですけど、やってみると本当に大変。パラリンピックはパラリンピック独自のスポーツと言ってよいかなというくらい、解釈がとても大変だった」

と振り返り、情報収集が大切なこと、それに多くの時間を割いたことを明かしていただきました。

シンプルですべての人に受け入れられやすいデザインを

尾花大輔さんがデザインした聖火リレーのユニフォーム

「自分のブランドのポリシーにも近いんですけども、色々な人が着ると思うので、その人が一番光るようなデザインにしたいと思いました」

聖火リレーのユニフォームを担当した尾花大輔さんはデザインを行う上でこだわったポイントを語ります。

「(自分のブランドでも)洋服が1番前に出るような洋服は作りたくないということを伝えているんです。なので非常に地味な洋服も多いんですけど、ユニフォームを作る上では、パーソナリティが光るようなったらいいなと思います」

聖火リレーのユニフォームや大会エンブレムについて説明する尾花大輔さん

もう一つ、運動に適した動きやすい服であることが大前提としてあり、特殊なデザインは採用できないため、「どちらかというとグラフィックのウエイトが大きかった」と話します。
しかし、自身はグラフィックデザイナーではないため、どのように進めるべきか悩んだとのこと。そこで、大会エンブレムの市松紋様など、すでに発表されていた様々なデザインソースや1964年 東京オリンピックにおけるユニフォームデザインなどを参考に、考えをまとめられたそうです。

そして、完成したオリンピックユニフォームは、「リレーで世界の人々の思いをつなげる」という意味を込めたタスキをモチーフにしたデザインに——、パラリンピックユニフォームは、聖火の揺れる光を表現したものになりました。

なお、タスキをモチーフとした斜めのラインは体全体をシャープに見せる効果もあるとのこと。
ユニフォームは膨張色である白色を基調にしなければならず、体型によっては着用を嫌がる人もいるかもしれないという課題も、このデザインによって解決できたと尾花さんは胸を張ります。

1万人が着るユニフォーム故の難しさとエンブレムの今後について

セッション後半には質疑応答が行われ、会場から、聖火リレーのユニフォームや大会エンブレムについて、質問が投げかけられました。

— 「デザイン上どのようなことが難しかったのか?」

尾花さんは着用する1万人すべての人が着やすいものを作ることが難しかったと回答。
「パラリンピックの場合ですと、体の障がいがある方とかいろいろあると思いますし、体型もそれぞれ。そういった方々がどんな状況でも着れて、脱ぎやすいものになることを一番注意した」といいます。

— 「どのようなプロセスでデザインを進めていったのか?」

「本プロジェクトでは、色々な方にインタビューをしたり、情報を集めるところから始めた」先に廣村さんが話していたように、情報収集が重要なのはユニフォームのデザインでも変わりはないようです。

— 「大会エンブレムについて、今後どういう展開を考えているか?」

野老さんはエンブレムには数学的にも、まだまだ解き明かされていないことがあることを示唆した上で、学問や教育の分野につなげていきたい考えがあると述べました。
「特に、来年に小学校で必修化されるプログラミング教育が始まれば、数学的なアルゴリズム解析などは、子供たちは簡単にできるようになるだろう。そして、そのような教育の中で大会エンブレムが何らかの役割を果たすことを期待している」ということでした。

大会デザインに携わった3名からのパリ2024年大会への提言&メッセージとは?

トークイベントで話す野老朝雄さんと廣村正彰さんと尾花大輔さん

東京2020オリンピックバラリンピック競技大会の次に行われる、パリ2024大会の組織委員会へ、どのようなメッセージを送りたいか? 

野老さん:
彼らは彼らの言葉で交渉できる力を持っているから、僕らが言うことは何にもないような気がします。
ただ(パリ2024のデザインプロジェクトのメンバーと)会いたい。ここで、もちろん話せないことも一杯ありますし(笑)
やっぱりデザインというのは一つの言語だと思うし、言葉じゃない伝わり方っていうのは信じていますし。会えばまた楽しいと思う。

廣村さん:
今回、もっとテクノロジーが発達した国ならではの表現があるんじゃないかという議論をしたんですね。例えばAIに作らせてみようとか。
(しかし、結果として)やはり人がつくることがどれだけ大事かということがすごく分かった。なので、人の思い——人の心意気が多分あれば、成功していくんだろうなという感じがしました。

尾花さん:
パリはファッションの都なので、めちゃくちゃ着づらいとか、ものすごいデザインとか。もうパリだから許されるというか。そういうデザインで正直脅かしてほしい。
すごいデザイナーさんとか起用していただいて、とんでもない制作時間——3年、4年をかけて作ったものを見たいです。

このデザインプロジェクトを2020年の先につなげていくために

何か新しい価値を作っていけるような——そういう場を組織委員会としては用意する責任もあるのかなと思っています。

組織委員会のデザインに関わるさまざまなプロジェクトでは、日本を代表するアーティストの方、デザイナーの方、クリエイターの方に協力していただいています。

2020年東京2020大会のデザインプロジェクトで出会ったことをきっかけに、大会後も拡がりをみせ、新しいデザインプロジェクトが生まれていくことを期待したいと思います。

野老 朝雄[ところ あさお]
美術家

大会エンブレム

廣村 正彰[ひろむら まさあき]
グラフィック・デザイナー

スポーツ・ピクトグラム

尾花 大輔[おばな だいすけ]
クリエイティブ・ディレクター

聖火リレー・ユニフォーム

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